ジャイアントケルプ - Macrocystis pyrifera - |
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成長したケルプ(全長20m以上) |
ジャイアントケルプは、アメリカ・カリフォルニア州中部からメキシコ北部の太平洋岸に生息する褐藻類の海藻で、世界一長くなる海藻として有名です。全長は約50mにもなり、通常は水深25m以浅から生えていますが、稀に水深40m以深で見つかることもあります。
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ジャイアントケルプは秋に胞子を放出することで繁殖します。着底した胞子は春から夏にかけてグングン成長し、真夏には海面まで届くほどの大きさになります。夏の最盛期には1日に50cm以上成長するといわれています。
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浮き袋はスタイプとブレードを
つなぐ部分にある |
成長したジャイアントケルプの体は4つの部分に大別することができます。ホールドフェストと呼ばれる根に似た部分、スタイプと呼ばれる茎の部分、ブレードと呼ばれる葉に似た部分、そして気体が中に入っている浮き袋の部分です。
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ホールドフェストは
大きな体を支えている |
ホールドフェストは水底の岩に巻きついており、船のアンカーのように体を固定する役割があります。ただ草木の根とは違い、根から栄養を吸収するシステムはありません。ケルプは他の海藻の仲間や草木と同じように光合成を行っており、ブレードによって光合成が行われます。ブレードには表裏がないので、どちらの側でも光合成ができます。光合成が効率的にできる場所までブレードを導くのが浮き袋の役割です。浮き袋のおかげで、ケルプは水面に向かって垂直に伸びることができ、ブレードを水面で浮遊させることができるのです。
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ジャイアントケルプの本来の寿命は6〜8年と考えられていますが、アメリカ・カリフォルニア州中部では、毎年冬に襲来するストームの大波で、ほとんどのケルプはビーチに打ち上げられて1〜2年でその一生を終えます。 |
ジャイアントケルプの森には様々な生き物が暮らしています。その代表はラッコです。ラッコはケルプを巻きつけて寝ています。これは風や波で流されないためのラッコなりの工夫です。またラッコはケルプの森に住むいろいろな生物を食べて暮らしています。ケルプクラブやロッククラブなどの甲殻類、アワビや二枚貝などの貝類、ウニ、ヒトデなどはラッコの食料です。その他、カリフォルニアアシカやハーバーシールの哺乳類もケルプの森で暮らしています。 |
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ケルプのベットで眠るラッコ |
また、ケルプの森は魚の幼魚の格好の隠れ家にもなっています。ロックフィッシュの仲間の幼魚などは、よくケルプのブレードに身を潜めて外敵から隠れています。またアイナメの仲間のキャベゾンはホールドフェスト(根)を産卵場所にしています。 |
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